standing(barely) / holding(barely)
2022
mixed-media
撮影:松尾宇人
絵画を作ろうとした。
絵画それ自体に脆弱さを付与することで 「脆弱さ」を絵にするのではなくて、
それ以前の、絵画の立ち姿 / 何かが立ち現れようとする様を問題として、絵画を作ろうとした。
下手をすれば絵画に満たない、取り留めのない描き遊びに過ぎないのかもしれないが、
しかしその弱々しい何かがその場に辛うじて立ち現れてしまったことを、
絵画という言葉から捨象される無数の「弱さ」を肯定したい。弱い絵画の肯定。
何を標榜することもない、小さな社会やユートピアをないまぜに、
手すさびに委ねて 描きとどめてきたいつかのプライベートな帳面(ノート)を絵画面に重ね、引き伸ばす。
堅牢さとは程遠い、弱くむき出しの素材とイメージたちをそれらしく束ね、設える。
あるいは立とうにも立てず、どうにか存在しているような
どうしようもなくぎこちない身体性を絵画それ自体の構造に与える。
自身が抱え、打ち立ててきた弱さ、ここからいかに絵画を立ち上げようとするのか。
あるいは転覆させようとするのか。
制作を通して、その絵画を以て 私の身体を、領域を、その場にいかに弱く奪還していくかを考えている。
そうして絵画を作ろうとした。